1.プロデュイ(素材)を尊重する 単に高級な素材を仕入れるだけではなく、それを最高の状態でお客様に提供できるシステムを構築することを目指します。たとえば、締めて一日置いたほうが良くなる魚は前日に仕入れたものを次の日に料理し、使い切る。また、数日寝かせたほうがいい肉は熟成期間を見込んで仕入れを行うといったことです。 2.キュイソン(火の入れ方)を追求する 選び抜いた食材への火の入れ方も、今までの慣習にとらわれずに再度、徹底して考えていきたいと思っています。たとえば肉類のロースト。今までは肉の周囲を、フライパンによって高温で焼き固めてからオーブンに入れるのが常識とされてきました。当店では「アストランス」で身につけた低温長時間ローストで引き出す方法をはじめ、最上質の肉に備わった繊細な風味を味わって頂くよう、素材に応じた火入れを追求していきます。 3.アセゾネ(味付け)を配慮する 従来のフランス料理におけるソースは、まさに「旨みの固まり」であるがゆえに、素材の風味をも覆い隠してしまうこともあります。日本料理のように塩のふり方まで素材や調理によって変える繊細さは見落とされてきたのではないかと、私は思うのです。流行の「軽い味付け」を支持するわけではありませんが、食材も食べる人の生活も変化している今、伝統だけを尊重すればいいという姿勢にも抵抗を感じるのです。文化の一つである料理も人類の発展に従って進化していくべきです。最高の素材が本来備えている繊細な風味を最大に引き出すための味付けを実現させていきたいと考えています。 |
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